Worldcoin(ワールドコイン)は、新しいデジタル通貨の一種であり、ユーザーが参加するために自分の目(虹彩)をスキャンして身元を確認する仕組みを使っています1。このようなスキャンデータは個人情報の一部で、これがプライバシーに影響する可能性があります。
プライバシーとは、他の人に自分の情報を勝手に知られない権利のことです。たとえば、名前や住所、電話番号、顔写真などが知られてしまうと、それを悪用される危険があります。Worldcoinが使う虹彩のスキャンデータも、同じように重要な個人情報のひとつです。
Worldcoinはこのデータを安全に管理する仕組みを作っていますが、万が一そのデータが悪用されると、プライバシーが侵害される(他人に自分の大事な情報を知られる)リスクがあります。だから、Worldcoinや同じようなサービスを使うときには、その仕組みがどれくらい安全なのか、自分の情報がどう扱われるのかを知ることが大切です。
まとめると、Worldcoinは便利なシステムだけど、プライバシーを守るためには自分のデータが安全に管理されているかどうかをちゃんと確認することが必要ということです。
プライバシーの保護
Worldcoinは、個人情報が他の人に知られないようにするための安全対策を取っています。
まず、目のスキャンデータ(虹彩データ)を安全に管理しています。Worldcoinは、このデータを特別な方法で「暗号化」して保存します。暗号化というのは、データをパズルのように複雑にして、簡単に読めないようにすることです。だから、たとえ誰かがそのデータにアクセスしても、すぐにはわからないようになっています。
次に、データはできるだけ少なく保存しています。Worldcoinは、ユーザーの目のスキャンデータを使って「この人が一度登録された」ということだけを確認しますが、具体的な名前や住所などの情報は保存しません。これにより、万が一そのデータが盗まれても、個人が特定されにくくなっています。
さらに、Worldcoinはプライバシー保護技術を使って、必要最小限のデータでシステムが動くようにしています。たとえば、「ゼロ知識証明2」という技術があり、これを使うことで、他の人に自分の情報を見せずに身元を確認できる仕組みがあります。
まとめると、Worldcoinは暗号化やデータの最小化、特別なプライバシー保護技術を使って、みんなの大事な個人情報が守られるように工夫しています。
プライバシーの侵害
Worldcoinでプライバシーが侵害された場合、次のような危険性が考えられます。
- 個人情報が盗まれる
Worldcoinは目のスキャンデータ(虹彩データ)を使っています。このデータは、ほかの個人情報と同じくらい大切です。もしこのデータが悪意のある人たちに盗まれてしまうと、その人が他の場所で勝手に自分の身元を証明したり、なりすますことができるかもしれません。 - なりすまし(アイデンティティの盗難)
プライバシーが侵害されると、誰かがそのデータを使って「自分はあなたです」と言い張り、悪いことに使うかもしれません。たとえば、他のアカウントを作ったり、勝手にお金を使ったりすることも可能になります。これは「アイデンティティの盗難」と呼ばれる行為で、非常に危険です。 - セキュリティの脆弱性(ぜいじゃくせい)
プライバシーが侵害されると、悪意のある人たちがその情報を使って、もっと大きな攻撃を仕掛けることができます。たとえば、他のシステムやデータベースにアクセスして、さらなる情報を盗んだり、システムを壊したりすることもありえます。 - プライバシーの喪失
自分の情報が勝手に使われたり、知られたりすると、安心してサービスを使えなくなります。自分のプライバシーが侵害されたと感じると、不安やストレスを感じることもありますし、今後そのサービスを使うことが怖くなることもあります。
つまり、Worldcoinのプライバシーが侵害されると、自分の大事な情報が盗まれたり、勝手に使われることで、なりすましやさらなるセキュリティの問題が発生する可能性があります。それに加えて、安心してインターネットやデジタルサービスを利用できなくなるという心配も生まれます。
プライバシーの侵害対策
Worldcoinのプライバシーを侵害するために、悪意のある人たちが使う可能性があるいくつかのアプローチがあります。これは危険なので、どのように侵害されるかを知っておくことが大切です。
- ハッキング
ハッカーと呼ばれる人たちが、Worldcoinのシステムに不正にアクセスしようとすることがあります。これは、コンピュータプログラムの弱点(脆弱性)を見つけて、システムに侵入し、保存されている目のスキャンデータや他の情報を盗む行為です。ハッカーが成功すると、プライバシーが侵害され、個人情報が流出する可能性があります。 - フィッシング攻撃
フィッシング攻撃とは、偽物のウェブサイトやメールを使って、ユーザーに自分の情報を入力させようとする詐欺のことです。たとえば、「Worldcoinにログインしてください」という偽物のメールを送ってきて、本物そっくりのウェブサイトに誘導し、そこでユーザーが間違って自分の情報を入力してしまうことがあります。そうすると、悪意のある人たちにその情報が渡ってしまいます。 - 内部からの侵害
会社やサービスを運営している人の中にも、情報を悪用する人がいるかもしれません。Worldcoinのシステムにアクセスできる人が、その権限を悪用して、ユーザーのデータを勝手に盗んだり、売ったりする危険性があります。 - 盗まれたデバイス
もし誰かがWorldcoinにアクセスしているあなたのスマホやパソコンを盗んだり、拾ったりした場合、そのデバイスからあなたのアカウントにアクセスできてしまう可能性があります。特に、パスワードが弱かったり、デバイスにロックをかけていなかったりすると、簡単に侵害されることがあります。 - 悪意のあるソフトウェア(ウイルスやマルウェア)
コンピュータやスマホにウイルスやマルウェア(悪意のあるプログラム)が入ってしまうと、そのプログラムがデバイス内のデータやアクセスしているサービスの情報を盗むことがあります。Worldcoinのアカウント情報がこのようにして盗まれることもあります。
まとめると、ハッキングやフィッシング、内部の人の悪用、デバイスの盗難、悪意のあるソフトウェアなど、さまざまな方法でWorldcoinのプライバシーが侵害される可能性があります。これらを防ぐためには、強いパスワードを使ったり、安全なウェブサイトやサービスを利用することが大切です。
*ゼロ知識証明(ゼロちしきしょうめい)とは
ゼロ知識証明とは、ある情報を持っていることを証明しながら、その情報自体を相手に教えずに済む技術です。これを使うと、他人に自分の情報を知られないまま、正しいことを証明できるので、プライバシーを守るのに役立ちます。
例えば、次のように考えてみてください。あなたがあるパズルの答えを知っていることを友達に証明したいとします。でも、答えを直接教えると、その答えを友達も知ることになってしまいますよね。ゼロ知識証明では、答えを教えずに「このパズルの答えを本当に知っている」ということだけを友達に納得させる方法です。
実際の仕組み
ゼロ知識証明は、主に次の3つの条件を満たす必要があります。
- 完全性(正しいときに証明できる)
本当に答えを知っている場合、証明者は相手に「自分が正しい」と確実に納得させることができる。 - 健全性(偽りは通じない)
もし答えを知らない場合、偽って証明しようとしても、相手にその偽りがばれてしまう。 - ゼロ知識性(情報は漏れない)
証明する過程で、相手に答えや重要な情報を一切知られずに済む。
例
例えば、あなたが年齢制限があるサービス(映画やゲームなど)を利用したいとします。でも、そのサービスを使うために年齢証明書(身分証明書)を見せると、年齢だけでなく、名前や住所などの個人情報も見せることになってしまいますよね。ゼロ知識証明を使えば、年齢を証明しながら、名前や住所を教えずに「私はこのサービスを使うのに十分な年齢です」とだけ証明することができるのです。
ゼロ知識証明の資料(日本総研様)へのリンクを以下に掲載します。
ワールドコインのホワイトペーパー
新しいSMPC(Secure Multi-Party Computation)システム
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